投影日誌


最新のプラネタリウム雑記はこちらをご覧ください。

8月26日(水)
鰯(いわし)の手づかみ取り放題
 下の「鵠沼海岸」のところで少年時代の話を少し書いたので、少年時代の夏休みの遊びの話をひとつ紹介します。
 私の生まれ故郷の海は、阿字ヶ浦海岸のすぐ近くですが、正確には磯崎海岸というところです。家は、道路一本隔ててすぐ磯におりることができます。現存する磯崎灯台の直下にありましたので、どのくらい海に近いかがおわかりいただけると思います。
 私が小学生の頃には、夏休みのシーズンには3回程度、鰯の大群が磯に押し寄せてきます。ものすごい数です。朝のうちから前兆があり、磯を散歩していると鰯が何匹か浅瀬で泳いでいます。そのような時は要注意です。午後の遅い時間に磯におりてみると、鰯の大群が押し寄せていることがあります。海岸を埋め尽くすほどのものすごい数で、水面全体が約数百メートルの幅で、銀色にキラキラ染まります。それを発見した私たち少年は、近所に鰯の大群が出たことをふれまわります。
 鰯は普段は猛烈なスピードで泳ぐために手でつかむことなど出来ませんが、このときばかりは水の中に手を入れると簡単につかめます。岩に激突して死んでしまう鰯もたくさんいます。(だから「いわし」??)こうなるとカニも大忙しです。鰯を狙ってカニがたくさん出てきます。ご近所さんが皆、バケツを持ってきて総出で鰯を捕まえます。一人あたりバケツ2杯もとると飽きてきて終わりにします。この現象は3時間程度は続くでしょうか。そのあとは、鱸(すずき)を釣りに行く人が必ずいます。鱸に鰯が追いかけられて磯に侵入してくるのだと、こどもの頃に聞かされました。
 さて問題は、その日の夜からの食事です。当時は冷蔵庫がまだ普及していませんでしたので、鰯を冷凍できません。鰯の塩焼きに始まり、鰯のつみれ汁、ハンバーグ、南蛮漬け、フライ、天婦羅と、母の料理のノウハウ全開の鰯料理オンパレードが1週間は続きます。いい加減、鰯料理に飽きてきた頃、次の大群が押し寄せてくると最悪です。でも面白いのでまた取りに行きます。
 少年時代は魚料理には不自由しませんでしたし、きわめて新鮮な料理だったのでしょう。それでも魚の料理はあまり好きではありませんでした。なんてもったいないことをしたのだろうと、今頃になって思います。
8月24日(月)
鵠沼海岸
 昨日の夕方は久しぶりに時間をつくって、藤沢市内から鵠沼海岸まで散歩しました。このホームページで紹介している散歩でダイエットのコースの一部です。このコースを歩くのは約2年ぶりです。
 もうじき夏も終わりますが、まだ海水浴客やサーファーで賑わっていました。夏の終わりの海の匂いをかいで久しぶりに生まれ故郷の海(茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦海岸)を思い出しました。私が小学校高学年の頃は、まだサーフボードが国内では珍しい頃で、私たち地元の少年はサーフボードも何も使わないで波乗りをしていました。今で言うところのボディーボードでしょうか。
 今頃の時期は土用波が立つ頃で、特に台風が過ぎ去ったあとは、2メートルを軽く超える波がくるのが楽しみでした。波の頂上で白波が立つかたたないかのタイミングで波に乗るのは、サーフボードを使用する波乗りと同じような感じでしょう。しかし、その状況での波は乗ったかと思うと体を波の頂上まで運ばれ、次の瞬間には波がパイプのように巻くため、体を水面下まで持っていかれてぐるぐる波にもまれながら浅瀬まで運ばれてしまいます。今では考えられないような危険な遊びかもしれませんが、それが楽しくてよく波乗りに行っていました。その海岸は、今では港ができて当時の面影がまったく残っていません。そんなことをボーっと思いながら遠くの江ノ島を眺めるこの時間は、とても心地よいものでした。
8月23日(日)
移動式プラネタリウム(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 8月20日から21日)
 8月20日(木)と21日(金)に横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校で移動式プラネタリウムの投影を行いました。同校は今年4月に開校した全国でも珍しい理数系の公立高校で、すでにさまざまな取り組みが行われています。横浜青少年サイエンスセンター事業もその一つで、市内の小中学生に科学に興味を持ってもらおうと科学講座や体験会などが企画されます。今回はその一環として、またPSY事業(「パイオニアスクールよこはま」の略称です。詳しくはこちら)のひとつとしてプラネタリウム上映会が企画されました。
 当日は講堂のステージ上にハードウエアを設置させていただき、同校の天文部の生徒、保護者有志の皆様、先生方などとともにプラネタリウム上映会を実施し、同校の生徒、保護者、PSY小学校、教職員の皆様など2日間で合計350名以上の方々にプラネタリウムをご覧いただきました。21日の投影終了後は同校の科学技術顧問の立場で、天文台において、天文部の先生方や生徒とともに天体観測の活動を行い、切れ味のきわめて鋭い30センチカセグレン反射望遠鏡(高橋製作所製)で木星などを見せていただきました。
8月17日(火)
移動式プラネタリウム(エアポートウォーク名古屋 8月14日から8月15日)
 8月14日(金)から8月15日(土)にエアポートウォーク名古屋で移動式プラネタリウムの投影を行いました。お盆休みの帰省ラッシュ、地震の影響による東名高速道路の一部区間の通行止め、そしてETC割引の3つの要素が重なり、往復には激しい渋滞が予測されました。前日の13日の何時頃横浜を出発すればよいか、いろいろな情報から午前11時頃が良いだろうと判断しました。この判断は正しかったようです。未明のうちは渋滞が激しかったようですが、私たちが東名を走った時間帯は、お盆にもかかわらず渋滞がまったくありませんでした。
 エアポートウォーク名古屋は旧名古屋空港国際線ターミナルビルを再利用した大型のショッピングモールです。この3階で移動式プラネタリウムの投影を行わせていただきました。ビルの西側がガラス張りになっており、西日があたるとドームの遮光の問題が厳しくなりますが、心配したほどではありませんでした。
 2日間で合計約500名の方に投影をご覧いただきました。解説に関してはいつものクオリティーを保ったつもりですが、観客の皆様の反応は、私がイメージしていたものとはやや異なりました。移動式プラネタリウムの投影では、地域により反応の違いがあり1回から2回投影して観客の反応を探り、修正をかけ3回目あたりからは自分のペースに観客を引き込むことができるのですが、今回は勝手が違いました。何が原因なのか、最後までその微妙なところが良くわからずに終わってしまいましたので今後の反省材料です。(・・・見ている方たちには、この試行錯誤は気がつきません・・・。)
 帰りは袋井ICから焼津ICまでが通行止めで、16日の午前0時に開通したため、その直前の遠州豊田PAで仮眠しました。3時間ほど足止めとなったため、15日の7時30分に名古屋を出発して横浜に到着したのは16日の午前3時30分でした。8時間がかかったことになりますが、お盆の時期の名古屋往復としては効率が良かったように思います。
 今週から来週にかけて、高等学校と病院と2件の投影が入っています。これが無事終わると、忙しかった夏が終わります。
8月10日(月)
移動式プラネタリウム(イオン北戸田ショッピングセンター 8月8日から8月9日)
 8月8日(土)と8月9日(日)にイオン北戸田ショッピングセンターにおいて移動式プラネタリウムの投影を行いました。お盆休みの帰省ラッシュの影響がそろそろ出はじめるのではないかと思い、両日とも早めに横浜を出発しましたが、早朝は首都高の混雑がほとんどありませんでした。
 専門店街1階のセントラルコートにドームを設営させていただきましたが、天井が吹き抜けになっているため、7メートルエアドームが小さく感じられたほどでした。2日間で、合計650名以上の皆様に投影をご覧いただきました。全ての回が満席か、それに近い状態でした。さすがにこの時期のショッピングセンターの中は、お客様の数がかなりのものでした。期間中は、先の皆既日食のツアーでご一緒した方や、サラリーマン時代の職場のスタッフ、そしてこれからお世話になる取引先の方などにも見に来ていただきました。
 投影機の方は相変わらず問題なく稼動しています。しかし先日の東京工業大学での投影終了後に投影機の中からカラカラと音がしていたため、その後カバーを開けてみると、日周運動を行うためのモーターのギアが脱落していました。たび重なる車での運搬でネジが緩みギアが脱落してしまったようでした。きつく閉めなおして、今は何の問題もなく、相変わらず天の川の微細な描写とともに美しい星空を投影してくれています。
 7月18日(土)に実施した八潮青年会議所主催の投影の様子が同青年会議所のホームページにアップされています。こちらの「活動報告」をご覧ください。今週はエアポートウォーク名古屋で移動式プラネタリウムの投影です。お盆の帰省ラッシュの中を名古屋まで走ることになります。今回は、はたしでどのくらいの時間で到着できるのでしょうか。
8月6日(木)
木星の衝突痕
 木星の南極付近に天体が衝突したと見られる模様が発生して、話題になっています。1994年の7月中旬にもシューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突して大きな話題となりました。あれからすでに15年も経過したのですね。
 セブ島から阿久津富夫氏が写真を撮影して送ってくれたので、紹介します。気流が悪かった中での写真撮影のようですが画面の左上に見える細長い楕円形の黒い模様がそれです。望遠鏡はセレストロン35センチシュミットカセグレン望遠鏡です。
 8月11日には土星のリングの消失という現象が起こります。これは、太陽が土星のリングを真横から照らすために土星のリングに光があたらず、見えなくなるという現象です。ただし、日没1時間後の土星の高度が東京で6度という高さであるため、望遠鏡でも見るのは困難ではないでしょうか。大気の揺らぎの影響(シンチレーションといいます)をまともに受けてしまいますね。
 このところ体力が戻ってきたので、早朝にカワセミの撮影に出かけています。今年第2陣のこどもたちも登場して、小川はとてもにぎやかです。めったにチャンスには恵まれませんが、昨日は4羽が編隊を組んで飛んでいる姿を見ました。圧巻です。シャッターチャンスをだいぶ逃してしまいました。蒸し暑くて写真をとるのも大変ですが、何点か満足できる写真が得られていますので、今月中には整理してUPしたいと思います。
8月2日(日)
星空のテクスチャー
 皆既日食が終わり、少し気が抜けてしまった感じがしないでもありませんが、気を取りなおして移動式プラネタリウムの打ち合わせや、首都圏の博物館のプラネタリウムで使用するCGの制作などで忙しい日々に戻りつつあります。その合間を縫って現在、星空のテクスチャーを作っています。これは全天周デジタル映像投影装置でさまざまなCG映像を表現するときの背景となる星空のテクスチャーです。プラネタリウムのドームで使うものであるため、星の配列などは正確なものでなくてはなりません。その上で天の川などの色合いやリアルさにオリジナリティーを出す工夫を行っています。
 このテクスチャーに取り組み始めてすでに3ヶ月が経過しましたが、いまだに作業の半分も終わっていません。完成までにはあと半年くらいかかることになるでしょうか。画像の解像度は高く、プラネタリウム用のドームマスターフォーマットの4096×4096ピクセルでレンダリングしたときにも耐えられるような十分な解像度を持たせています。最終的には全天で1万ピクセル×1万ピクセルを軽く超えるものになるでしょうか。
 しかし、このような解像度の高い画像をたくさん使用するとCGをレンダリングするときの時間がさらにかかるようになり、悩みは尽きません。
 昔、軌道計算や日食計算プログラムをPCで組んでいたときにも演算処理の早いコンピューターにあこがれましたが、その頃と同じ状態が今度はCG制作でも起きています。時代が変わってもコンピューターの演算処理は早ければ早いに越したことはありませんね。ネットワークレンダリングも考えていますが、場所と電源の容量、投入経費などを考えるとそうもいきません。
7月25日(土)
阿久津富夫氏の皆既日食(中国杭州市 7月22日)
 フィリピンのセブ島に在住の阿久津富夫氏は、私と30年以上も交流のある友人で、世界的な惑星観測者としても知られています。皆既日食に出かける前に、中国で会う約束を電話などでしていましたが、最終的には私が上海、阿久津氏は杭州市と観測場所が離れてしまったため、実現しませんでした。
 今日の午前中に阿久津氏から写真添付のメールをいただいたため、許可を得てここに掲載します。杭州市でも天気の状態は悪く、場所により明暗が分かれたようでした。阿久津氏が観測したところでは、皆既の始めから終わりまで、太陽は雲の中だったようです。金星が雲間から見えていたのは、私たちよりも条件は良かったようです。その頃私たちは大雨に打たれて機材ともども濡れネズミになっていましたからね。
 あれからまだ3日しかたっていませんが、毎日の忙しさに追われて皆既日食の記憶が次第におぼろげになっていきます。しかし、それでも忙しいことはありがたいことだと思っています。
 夕方になって横浜では青空がのぞきはじめました。久しぶりにまぶしい太陽を見たような気がします。あの青空の中で皆既日食を見たならさぞかしすばらしかったでしょうね。
 さて、来週は久しぶりにカワセミの撮影に行ってみますか・・・。
(写真をクリックすると大きな写真をご覧いただけます。)
7月25日(土)
移動式プラネタリウム(東京工業大学 原子炉研工学研究所 7月24日)
 上海から戻ってまだ2日目の7月24日(金)には東京工業大学原子炉研工学研究所からの依頼で、同大学のTokyo Tech Front 1階のくらまえホールにおいて、移動式プラネタリウムの投影を行いました。今回は、同研究所の教授・准教授・技術職員・事務職員などで構成されるアトム会の皆様を対象に投影を行わせていただきました。会の皆様の多くが移動式プラネタリウムに興味津々だったようで、投影する側も今までとは少し勝手が違いましたが、とてもよい経験をさせていただきました。
 23日の日に大急ぎで上海の皆既日食の写真などを整理して、投影の前半で新たに導入したビデオプロジェクター(といっても中古品です)で22日当日の様子などを紹介させていただき、後半で夏の星空をご覧いただきました。
 毎年何度か実施されるアトム会のイベントの一環として、今回は私共が呼ばれました。担当された青木さんによると、今年5月に朝日新聞神奈川版で私共が紹介されたのを見たのが、今回の企画のきっかけになっだそうです。改めて新聞の威力を知らされた次第です。会場はとてもきれいな場所で、モノトーンをベースとしたカラーリングの内装の中で、7メートルの青いエアドームがひときわ目立っていました。
 忙しかった7月の移動式プラネタリウムのスケジュールは、ひとまずこれで終了です。次は8月の第2週目から夏休みの後半のラウンドに入ります。それまで、少し時間が取れそうなので、放置していたCGコンテンツの制作や移動式プラネタリウムのハードウエアのメンテナンスに入ります。
 皆既日食までの間に、驚くほどたくさんの方々に「日食」のページを中心にアクセスしていただいたようです。お礼を申し上げます。ありがとうございました。
7月24日(金)
皆既日食(上海月湖雕望公園 7月22日)
 上海市内から約40キロほどの離れた公園で皆既日食の観測を行いました。当日は朝から空一面雲に覆われた状況でした。しかもあたり一面が霧に包まれていました。この状態から天気がよくなるのかとも思われました。太陽が少し欠けた頃姿を見せましたが、その後空は急激に暗くなり雨粒が落ちてきました。皆既中は、これまでの観測では経験したことのない暗さに包まれました。
 残念だったのは、その大切な瞬間に公園の照明が点灯されたことです。このため、その暗さがどのくらいのものであったのかが良くわかりませんでした。上海に到着した夜に、現場の公園に出向き北極星を頼りに南北線をロープで張るための目印をつけ、その後公園事務所側と打ち合わせを行い、皆既中は照明を点灯させないようにお願いしていたにもかかわらず、結果として要望を受け入れてはもらえませんでした。公園側として安全上の配慮だったのかも知れません。公園には日本、香港、台湾、イタリアなど世界各国からたくさんの観測者が来ていましたので、皆さんがっかりされたのではないでしょうか。
 機材も洋服もずぶ濡れのまま撤収せざるを得ませんでした。これまでの皆既日食の観測では最悪でしたが、ここまで悪天候に見舞われると、すっきりあきらめもつきます。皆既日食には天気の心配がつきもので、毎回必ず見られる保証はどこにもありません。それでも、皆既帯に入るために出かけるのは、それだけすごい現象を、たとえ厚い雲に阻まれても現場で見たいという思いがそうさせるのではないでしょうか。
 次は来年の8月のイースター島などで見られる皆既日食です。都合がつくかぎり、また遠征することになるでしょう。近日中に上海のレポートをUPする予定です。
7月19日(日)
移動式プラネタリウム(八潮青年会議所 7月18日) 
 7月18日(土)は八潮駅前のやしおメセナ・アネックスで、八潮青年会議所の主催で移動式プラネタリウムの投影を行いました。14時から1時間ごとに18時まで5回の投影の予定で、13時より整理券が配布されました。しかし、私共が準備を終えて受付のコーナーを除いてみるとすでに18時までの整理券の配布が終わっていました。あっという間に整理券が全てなくなってしまったようで、これには青年会議所のメンバーの皆さんも驚かれた様子でした。急遽18時30分からの回を1回追加して対応しましたが、おかげさまで全ての回が満席となりました。
 日食が近いこともあったため、投影の最後には安全な方法で日食をご覧になるよう呼びかけました。
 事業を担当された水口委員長、そして原田理事長には事前に横浜まで打ち合わせにお越しいただき、大変恐縮してしまいましたが、おかげで、本番はスムーズに投影を行うことができました。
 ドームを出るときの子ども達の笑顔を見ていると、今日見た星空のことを、いつまでも彼らの記憶にとどめておいてもらいたい願う次第です。
 地元のケーブルテレビの取材もありました。右の写真は取材に対応される理事長です。

7月18日(土)に実施した八潮青年会議所主催の投影の様子が同青年会議所のホームページにアップされています。こちらの「活動報告」をご覧ください。
7月19日(日)
講演(北区立中央公園文化センター 「46年ぶりに日本で見られる皆既日食について学ぼう!」  7月17日)
 7月17日(金)は東京都北区の北区立中央公園文化センターにおいて表記の講演を行いました。大人から子どもまでさまざまな方々に聞いていただきましたが、小学校低学年の児童の皆さんには少し難しかったかもしれません。
 事業を企画された同センターの細谷さんによれば、昨年の8月にニッポン放送で放送された、私共の話題を通勤の途中に聞かれて、私共のホームページを調べ、今年は日食について講演をお願いしようと考えられていたとの事です。今回は部分日食を安全に見る方法などについて少し詳しくお話をさせていただきました。参加者の皆さんも今回の日食をとても楽しみにしている様子でした。しかし、まだまだ説明が足りないようで、たとえば、地面などに映った木漏れ日が太陽の欠けた形を反映するという話をしても、なかなかピンとこないようで、説明の難しさを痛感した次第です。
 日食に関する講演はこれで、ひとまず一段落ですが、今度は観測から戻ってから、ある大学で日食の観測のレポートなども含めて移動式プラネタリウムの投影を行う予定になっています。
7月15日(水)
梱包
 週末は皆既日食に関する講演と、移動式プラネタリウムの投影の予定が入っているため、昨日から今日にかけて皆既日食撮影のための機材の最終チェックとトランクへの梱包を行いました。機材とトランクへの梱包状態の写真をUPします。トランクに入れた状態で18キロです。あいているスペースに着替えなどでパッキンをして20キロちょうどにします。カメラ2台は機内持ち込み用のカメラバックに入れれば完了です。今年1月のインドネシアの金環日食の時にも、ツアーのグループの一人がトランクの重量オーバーで、現地のカウンターでトランクを預ける時に超過料金を請求されました。たまたま、私共がインストラクターで同行していたため、団体で行動しているのでトータルで配慮してもらいたいと粘って交渉した結果、無事通過しました(お礼に撮影済みの金環日食の写真の液晶画面を携帯のカメラで撮影していただきました)。現地の空港でもこの状況ですから、計量はかなりシビアになったと思った次第です。
 本来であれば、写真撮影には、後々の画像処理などを配慮してもモータードライブ付の赤道義が断然有利ですが、この重量制限のため、今回はあえて経緯台を選択しました。ただし望遠鏡の口径は10センチと皆既日食の撮影用としては大口径です。果たしてどのような写真が撮影できるか楽しみですが、せっかく準備しても曇られては水の泡です。その時は、また気持ちを切り替えて次の皆既日食を待ちましょう。ただし、私に残された時間はそれほど多くはありませんので、できれば快晴の理想的な条件で日食を観測したいものです。
 昨日の朝は月齢21の月が青空の中に浮かんでいました。この月が新月になる時がいよいよ皆既日食です。皆既日食まであと1週間。来週の水曜日に、新月は太陽の前を横切り、皆既の継続時間が今世紀最大となる皆既日食が中国やトカラ列島などで見られます。・・・でもその前に、講演と移動式プラネタリウム。
7月12日(日)
講演(相模原市立博物館 「7・22日食直前ガイド」 7月12日)
 今日は相模原市立博物館において、同館学芸員の杉本芳秋氏とともに標記の講演を行わせていただきました。同館ではさまざまな講座・教室・講演会が行われています。今回の講演会は開館時間の9時30分から、先着200名に整理券が配布されましたが、朝から行列ができて、あっという間に定員に達したそうです。この状況は同館はじまって以来の記録だそうで、今回の日食に関する関心の高さを裏付けるものです。
 2012年5月21日には、関東地方などでも金環日食が見られるため、それを視野に入れながら、今年1月26日のインドネシアで見られた金環日食の話や、今回、相模原で見られる部分日食の様子、そして皆既日食のときに何が見えるかなど、実写の写真やビデオ映像などを交えてお話をさせていただきました。
 日食の当日は科学館、博物館、公開天文台などさまざまな施設で日食観望会などのイベントが実施されます。しかし今回の相模原市立博物館の状況から判断して、各施設とも定員を超える参加者が押し寄せ混乱することが予測されます。
 国立天文台や、世界天文年2009のホームページでは日食を安全に見るためのコンテンツが用意されていますので、それらを参考に自宅などでゆっくり日食を楽しまれるのも良い方法かと思います。
 皆既日食まであと10日です。
 なお、来年の1月15日には、モルジブ、インド、スリランカなどを通過する、継続時間が10分近くもある金環日食が、そして7月11日にはイースター島などで見られる皆既日食があります。私共のホームページの「日食」のページでは、これらの日食についても、今後詳しく掲載する予定にしています。
7月11日(土)
移動式プラネタリウム(横浜市立谷本小学校 7月10日)
 横浜市青葉区の谷本小学校で7月10日(金)に移動式プラネタリウムの投影を行いました。会場は同校の体育館です。当日は風が強い日でした。体育館内の窓などを少し開けておいたため、室内でありながらドームが風で多少ゆれていましたが、星空を投影するのには差し支えありませんでした。
 同校の4年生を対象に、夏の星座の見つけ方や、プラネタリウムで日周運動を再現しながら、北極星を中心に太陽や星が動く様子を観察してもらいました。また、それに続いて近隣の保育園児を対象として投影を行い、七夕の星などを中心として話をしました。
 星が出てくる場面では、4年生も保育園児もとても興奮して、しばらくは話ができない状態になります。常設のプラネタリウム館での投影では、ここまで興奮することはありません。最近ではその興奮の静め方も要領が少しわかってきました。それにしても保育園児は相変わらず、私共にとっては強敵であることに変わりはありません。話にひきつけるための工夫がまだまだ必要であると思っています。
 なお、同校では来年の1月にも再び移動式プラネタリウムの投影を行う予定です。
7月9日(木)
移動式プラネタリウム(トレッサ横浜 7月6日から7日)
 嫌いなうなぎを無理して食べたにもかかわらず疲れてきました。ドームを設営する時にも体が重い感じでした。声も少しざらついてきたようです。それでもありがたいことに、今回の2日間とも、平日の遅い時間からのスタートにもかかわらず全回満席でした。結果としてトレッサ横浜での平日5日間の全ての回が満席になりました。これには、私共も驚きましたが、トレッサの関係者もまた予想外だったようです。
 この5日間は、私共が強敵としている幼児もたくさん入りました。中には暗くなってから泣き出す乳幼児もいましたが、何とか解説にひきつけることはできたように思います。それにしても4歳以下の幼児への話の進め方は、いまだに試行錯誤の状態が続いています。
 普段は重いと感じないメガスターゼロが、今回は少し重たく感じました。220万個の星を投影できるプラネタリウムを持ち運びできること自体、贅沢なことですので、11キロしかないメガスターゼロを重いなどと言ってはいけませんね。
 投影終了後に聞いた話では、トレッサの事務所に、次はいつプラネタリウムが来るのですかという問い合わせがたくさんあったということです。5日間の疲れがフッ飛んでしまいました。
7月9日(木)
移動式プラネタリウム(牛久自然観察の森 7月5日)
 7月5日(日)は「牛久自然観察の森」主催で、牛久市中央生涯学習センターにおいて移動式プラネタリウムの投影を行いました。往復はがきによる事前募集のイベントです。開催にこぎつけるまで、昨年の暮れから担当の斉藤さんとは何度もやり取りをさせていただきました。、
 このイベントは、天体写真の世界で高名な田中千秋氏が率いる「こども星見隊」の天体写真展と「さわれる天体写真展」との同時開催となりました。
 「こども星見隊」は「牛久自然観察の森」を拠点として活動する星見ボランティアグループです。田中氏の人柄に引かれて集まった、熱心なスタッフが手際よいチームワークで活動する姿は見ていてとても気持ちのよいものでした。田中氏とは1991年の皆既日食以来、約18年ぶりの再会でした。まるでサロス周期ですね。移動式プラネタリウムでの解説もやっと自分なりの形ができてきて、星空ライブショーとしてのパフォーマンスになってきたように思います。
 帰りは牛久沼を見ながら名物のうなぎを食べてきました。ちなみに、私はうなぎが嫌いです(・・・それじゃあ食べなきゃいいのに・・・)がせっかく牛久に来た記念です。少し奮発しましたが、それでもやはりあの独特の油っぽさは、私の口に合いませんでした。
7月9日(木)
講演(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 「7月22日の皆既日食」 7月4日)
 トレッサ横浜の合間をぬって7月4日(土)は、今年4月に開校した横浜サイエンスフロンティア高校にて「7月22日の皆既日食」と題して全校生徒を対象に講演を行いました。これは同校で毎月1回土曜日に開催されるサタデーサイエンスにおけるもので、同校の科学技術顧問の立場で講演を行いました。
 サタデーサイエンスでは、すでに小柴昌俊先生、和田昭允先生、藤嶋昭先生などが講演を行っています。今回講演に使用した画像のほとんどは、私共が全国のプラネタリウム館向けに作成した「皆既日食解説キット」の画像です。講演終了後の質問の時間では、たくさんの生徒から質問を受けましたが、中には専門家レベルの質問もたくさんあり、同校のレベルの高さを垣間見たような思いでした。将来が楽しみですね。講演終了後には、天文部の生徒と少し話をしましたが、この夏休みの期間を利用して、一緒に天体観測などをすることを約束して引き上げてきました。私自身、天文に興味を持ったのは高校生の時でしたので、彼らと話をしながら自分の若い頃を思い出していました。
7月5日(日)
移動式プラネタリウム(トレッサ横浜 7月1日から7月3日)
 7月1日(水)から7月3日(金)までトレッサ横浜において、移動式プラネタリウムの投影を行いました。
 トレッサ横浜は株式会社トヨタオートモールクリエイトが開発・運営を行っている複合型商業施設です。220店舗のショッピングシティとトヨタ系列の実車の展示・販売などが行われています。施設は南棟と北棟があり、北棟は横浜市の姉妹都市であるフランスのリヨン市の旧市街の街並みが再現されています。とてもおしゃれでエキゾチックな雰囲気が漂っています。2階のリヨン広場で今回は移動式プラネタリウムの投影を行わせていただきました。
 平日の午後遅くのスタートであり、果たしてどのくらいのお客様に見ていただけるのかとても心配でしたが、その心配は無用に終わりました。全回とも、ほぼ満席の状態です。平日にこれだけのお客様に来ていただけるのは、さすがトレッサ横浜の実力ではないでしょうか。七夕が近いこともあり、七夕の星々を中心に夏の代表的な星座を紹介させていただきましたが、ドーム内を徐々に暗くして満天の星空が姿をあらわす場面では、どよめきが起きます。これを聞きたくて投影を行っているのかも知れません。
 7月3日の4回目の投影が終わった時、観客の一人が私に声をかけてきました。投影を開始する時から気にはなっていた方でしたが、いろいろ話を聞いているうちに、その方は、なんと私が若い頃から目標としていたプラネタリウム解説者の中の一人の、娘さんであることがわかりびっくりしました。娘さんは横浜に出てきて暮らしているということでした。最近は、その解説者の方とはしばらくお会いしていないので、とても懐かしく思いました。
 移動式プラネタリウムの観客は、反応がとてもシビアですが、投影が終わったあと、笑顔でドームから出て行かれる皆様の様子を見ていると、もとてもうれしく思います。常設館での解説とはまったく異なるプラネタリウムの醍醐味です。
 トレッサ横浜での投影は、7月6日(月)と7日(火)にも再び行います。

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